先生は軽く息を抜いてから、面倒くさそうに笑う。 あたしがそう見えただけかもしれないけど。 沈黙した空気が、まだ梅雨を感じさせるジトッとした湿度の高さに重い。それでも、居心地が悪くないのはやっぱりこの人の雰囲気だと思う。 「……だからガキは嫌なんだよ」 気怠く呟いた先生の声に体が過剰に反応した。 「鍵、かけとけ」 少し、怖い位余裕のある瞳であたしの後ろにあるドアに目配せした。