「…廉は、あたしの好みのタイプ知ってる?」


知る筈ない。身体だけしか関係ないあたし達の間にそんな情報飛び交う訳がない。無意識に出した会話に自分でもおかしいと感じながら、透明の瞳だけ向ける廉に少し笑う。


「あたしは廉のタイプ知ってる」



毎回、廉が騒ぎ出す女を見れば分かる。あたしは廉の髪を指先で絡めながら言葉を続けた。



「黒髪で色白でお人形さんみたいに綺麗な女の子が好きよね?」


何故か廉は一瞬驚いたような顔をしたけど、気にしてらんない。考えなくても『雪乃ちゃん』はストライクど真ん中。



「…ヤキモチ?」


廉はあたしの指にくすぐったそうにクスクス笑う。



「なわけないでしょう?」



あたしはニッコリ笑って否定する。



廉は、タイプじゃない。


廉のタイプだってあたしじゃない。