ナオのことは本気だった。
ずっと前から、好きだった。
その気持ちはまだ、全然消えてないはずなのに。
あたしは未練たらたらで、ナオと冬薙さんを直視できなかったはずなのに。
『(…っ、なんでキスなんか…)』
ファーストキス、だったのに。
こんなにも急に、自分からハジメテを手放すなんて。
…あたしがしたとは、到底思えないこと。
『なんて謝ればっ…』
「月菜!!」
死んでお詫びするか、と意志を固めたところで名前を呼ばれた。
突然のことにびっくりして足を止めると、目の前には肩を怒らせた藍依の姿があった。
『あ、あい…』
「このど阿呆が!!なにを考えているんだ、莫迦者!1時間目に姿が見えなくて、どれほどわたしが心配したと…!」
藍依はズンズンと突き進んで、あたしの目の前に来るとそう言った。
お、怒られた…!
呉暁のことがあった手前、なんだか藍依の顔が見れない。
「藍依、倉眞さんにも事情があるんだ。友達なら察してやれよ」

