嘘と苺とショートケーキ 【短編】




ナオのことは本気だった。



ずっと前から、好きだった。


その気持ちはまだ、全然消えてないはずなのに。


あたしは未練たらたらで、ナオと冬薙さんを直視できなかったはずなのに。



『(…っ、なんでキスなんか…)』



ファーストキス、だったのに。


こんなにも急に、自分からハジメテを手放すなんて。


…あたしがしたとは、到底思えないこと。



『なんて謝ればっ…』


「月菜!!」



死んでお詫びするか、と意志を固めたところで名前を呼ばれた。


突然のことにびっくりして足を止めると、目の前には肩を怒らせた藍依の姿があった。



『あ、あい…』


「このど阿呆が!!なにを考えているんだ、莫迦者!1時間目に姿が見えなくて、どれほどわたしが心配したと…!」



藍依はズンズンと突き進んで、あたしの目の前に来るとそう言った。


お、怒られた…!


呉暁のことがあった手前、なんだか藍依の顔が見れない。




「藍依、倉眞さんにも事情があるんだ。友達なら察してやれよ」