嘘と苺とショートケーキ 【短編】



呉暁と特別仲が良かったわけじゃないのに。


藍依にだって、こんな話はあまりしないのに。



なんで、あたし―――



『それで、あたしの誕生日プレゼントじゃなくて冬薙さんのを買ってたの!あたしにはオメデトウの一言さえなし!どう思う!?』


「うわ、ひでぇ。友達なんだからちゃんと祝えよって感じ」


『そうなの!4年も親友やってるのに忘れるとかないよ!そりゃあ初カノができて浮かれてたんだろうけどさ…』


「でもそこは、付き合いの長い親友を優先しろっていうか」


『やっぱりそう思うよね!!あたし≦冬薙さんかよって感じ!!』




―――なにこんな、和気藹々と愚痴に花を咲かせてるの?




『……ふぅ。あー、すっきりした!ありがとね!』


「いーえ。オレも気分が晴れたし」


『え?』


「あ、いや……偶然だけどオレも失恋したんだ、今日」



そう言ってぎこちなく笑う呉暁を見ていたら、胸がぎゅうっと苦しくなった。


……なんだろ、今の感じ。



『そうなの!?……だ、誰に?』



心配してはいるものの、好奇心には勝てなかった。


呉暁は少し逡巡したあと、小さな声で言った。



「……友達の倉眞さんには言いにくいけど、……七鴇さん」




―――藍依?




『…あー…彰哉くんがいるもんね、藍依には』



上手く笑えてるか、自信がなかった。





……なんであたし、今、泣きそうなんだろ。