嘘と苺とショートケーキ 【短編】



『ふぁ、ファーストキスまだで悪いっ!?』


「…ははっ、自分で言ってるし」



しまった!!


肩を小刻みに震わせて笑う呉暁の頭を、ぺしっと叩いた。



「いたっ」


『もう、笑いすぎ!……ていうか腕、そろそろ離してよ』



半分の照れ隠しを込めて、あたしは語尾を吊り上げた。



「それはダメ」


『…はあっ!?』


「倉眞さん、多分逃げるし」


『……逃げないよ、なんなら手繋げば良いじゃん』


「あー、なるほど」



するりと抵抗なく絡んだ指に、赤面した。


な、なんでまた恋人繋ぎ!?



『………よいしょ』



…意識したら負けだ。


自分に言い聞かせながら身体を起こして、パンパンと埃を払った。


えっと……これからどうしよう。



「ねぇ、倉眞さん」


『……なに』


「オレで良ければ話、聞くよ」


『………黙っててくれる?』


「もちろん」



へにゃりと笑った顔は相変わらず。


…この笑顔を、前から可愛いって思ってたなんて。


本人には絶対、言ってやらないんだから。




『…あのね…』