嘘と苺とショートケーキ 【短編】



『………そ、その、…あの…』



な、泣いちゃった…!


さっきも泣いてるところ見られてたのに!


…あたしのこと、泣き虫でウザいとか思ってたら嫌だなぁ。


でも、こんなに泣いたら思われてもしょうがないのかな…。



「…倉眞さん、大丈夫?」


『えっ…』


「目、赤い。腫れてる」



呉暁の指先が、あたしの眦に触れた。


どきんっ!


なにかが、鼓動した。



『っななな泣いたからね!し、仕方ないよ!』



顔をバッと背け、あたしは意味も無く髪の毛を弄った。


なななに照れてるの、あたし…!



「……にしても、嫌なモノ見ちゃったな」



呉暁が若干顔を赤らめながら、ぼそりと呟いた。


……やばい、赤面が伝染する。


同じく羞恥に染まった自身の頬を撫でながら、あたしは顔を縦に振った。



『……………、してたね』


「え?」


『~~~してたね!』


「…あぁ、キス」

『きゃああああああ』

「もしかし」

『ぎゃああああああ』

「ファーストキ」


『やめてってば!!』



―バシッ!



「てっ」