嘘と苺とショートケーキ 【短編】



『いっ…』


「フラれちゃったの?」



背中にぴったりと当たるのは、ひんやりと冷たい床。


腕は相変わらず掴まれたままで、気付けば押し倒されていた。


意味のわからない展開に、カアッと顔が赤くなるのを感じた。



『~~~っ!!』


「ごめんごめん、聞こえちゃって」



な…なにが、聞こえちゃったよ!


白々しい言い方して…!



『そ、そうだよっ!せっかくの誕生日なのに最悪!も…もう良いでしょ!?はなしっ…』


「だから、まだダメ」


『な…なんなのっ!?』




―ギィッ…




あの激しく錆び付いた屋上の扉が、開く音がした。



『誰か来っ…むぐ』


「見られたくないなら、静かにして」



……?


“見られたくない”って……どういう意味…?



「ふ、冬薙さん…」



…えっ!?


い、今の声って…もしかして…。






『(……ナオ…!?)』