嘘と苺とショートケーキ 【短編】



『………ちょっと。そっちが呼んだんでしょ?』



反応ないってことは、寝てるんだよね。


ううっ…このままじゃ帰れない…。


せめて顔だけでも見ないと、口封じすらできないし…。



『…見ちゃえばいっか』



そろーっと静かに、膝を付きながら男の隣まで近付いた。


ここまで至近距離に来ると、寝息が聞こえてきた。



……さっきは誕生日おめでとうとか言われたし…、変な人だなぁ…。



しっかり寝てることを再度確認してから、あたしはそろりと本に手を伸ばした。



『ん、もうちょっ…』





―グイッ!





『ひゃあっ!?』


「おぉ、倉眞さんってそんな声でるんだ」





ななななななななっ!?