嘘と苺とショートケーキ 【短編】



声のする方にぐるんっと首を捻ると、給水タンクの上に人影が見えた。


逆光の所為で、顔が全く見えない。


わかるのは、声から判断して男だということだけ。



『だっ、だだだ誰っ…!!』



も、もしかして……あたしの泣いてるところ終始見られてた!?


ぼふっと顔が赤くなるのを感じた。



「ここまでおいでー」



真っ黒い影はあたしをバカにするようにヒラヒラと手を振って、それから見えなくなった。


多分、寝転がったんだと思う。



『(……ど、どうしよう…!)』



もしここで泣いてたことが、ナオにバレたら…!


せっかくこの想いは封印するって、さっき泣きながら決めたのに…!!



「じゅーきゅーはーちー」





ええええええっ!?





まさかのカウントダウン開始っ!?