嘘と苺とショートケーキ 【短編】




…泣き腫らした目が、重たい。



せっかくの誕生日だっていうのに、あたしはこんなとこでなにをしてるんだろ。



『あーあ…。ナオ……誕生日おめでとうって、言ってくれなかったなぁ…』



フェンスにだらりと頭を預けて、床に身体を寝かせて。


焦点の合わない双眸でぼんやりと空を見上げた。


そういえば……今日は澄みきった青空で、朝から嬉しい気持ちになったんだっけ。


…今のあたしの心は、どしゃ降りのち曇りだよ…。




はぁあああ…と、深く溜息を吐いた時だった。




「倉眞さん、誕生日おめでとー」



……えっ!?


突然どこからか間延びした声が降ってきて、あたしはガバッと起き上がった。



誰かいるの!?



この時間って授業中じゃん…!


てか、いつからいたの!?


扉が開く音なんて、一度も聞いてないよ!?





「こっちだよ、倉眞さーん」