アイドはベンチから立ち上がった。




「それじゃあね。もう会うことはないけど」







バン…







銃声音がなった。


アイドの胸部分に銃弾が止まっていた。


アイドは銃弾を見つめ、周囲を見渡した。




「大丈夫か。ナナミさん」




振り向くと森下先生がいた。


アイドの周りには多くの医者や看護師がいた。


アイドは私達の方へ視線を向けた。




「早いね。さすがだよ」


「ここは病院内だ。争いはしたくない。立ち去ってくれ」




アイドは止まった銃弾を掴んだ。




「こんなもので俺を殺せると本気で思ってるの」




銃弾を地面に捨てた。




「俺はね、争いたくない場所が三つあるんだ。
一つは墓の前、二つ目が六地蔵像の前、三つ目が病院内だ。
どうしてだかわかる」


「…」


「これらはこの世とあの世の境目だと考えている。
アンタもそう思うだろ」