「俺のモットーは『無為に過ごす』だからね。
何もしたくない」


「じゃあ、なんで来たの」


「ハァー、眠い。
君たちが三人も捕まえるから悪いんだろ。
俺のようなやつにも仕事を回しやがった」


「…」


「大丈夫。
俺は何もしないよ。
仕事は終えた。
あとは君が仲間を呼んで、俺が逃げれば仕事終了。
ってことで早く呼んでよ。
こっちは朝早くに無理やり起こされて眠いんだからさ」


「頭に流した映像は何…」


「あれは仕事内容だよ。
説明するのが面倒だから流させてもらった」


「それなら、ボタンを押させてから、流せばいいじゃない」


「手順があるんだよ。上に報告するとき、ヘマをして逃げたのと、仕事をしてから逃げたのでは、意味が違うからね」


「はぁ…」


「早く押してくれないか。押さないと少し面倒になるよ。
もちろん、俺じゃなくて君がだけどさ」




私はボタンを押す気になれなかった。




「どうしても押さないわけか」




ベンチで空を見ていたアイドは私の方を見た。


私とアイドは目が合った。







次の瞬間…