「俺のことは気にするな。
この資料の確証が得られたら、また頼む。それからこのことは他言するなよ。
アカネにもな」





「わかってる」




伊藤君は鞄を持ち、病室から出ようとしていた。




「伊藤君」




私は伊藤君を呼びとめた。




「なんだ」






「その資料は誰が作ったの。
それに資料の書き手の資料情報は正確過ぎる」









私が受け取る資料は多くの人が調査したものだった。


その人達の中で一人だけ気になる書き手がいた。


その人はまるで組織に何年の関わり、同時にその地域に何年も暮らさないとわからないようなことを書く。


今回持ってきた二つの資料はその人が書いたものだと一目で分かるほどに…









「ただの情報屋だ」


「その人に頼むの。
現実世界への調査を…」


「…また来る」










伊藤君は病室を出た。