「この資料は参考にできない」






私は能力を使わずに話した。







「どうしてだ。その資料を今後の軸として動く予定でいるんだが」




「この資料は真実のことが書かれているかが不明よ」




「真実か…
つまり、一度この仮想世界から現実世界に誰かを行かせればいいわけか」



「そう。
それにこの資料で書かれた問題点の一つである『人口の差』も問題になるの」




「…世界の奴らがこの話を聞いてトラブルに陥るってことか」





「そういうこと。だからと言って、特定の人だけを世界から出すとなると、そこにも問題がある。
例えば、情報の流出によるもの」





伊藤君は私の膝に置かれた資料を手にした。




そして資料を見つめた。





「確かにその問題点を否定することはできない。
だが、『Cの世界』の最終目的はこの世界から出ることだ」





「そんな話は聞いてない。
私はこの世界の技術力向上が『Cの世界』と聞いている」






「今のステージがその状態だ。
これ以上の成長に意味はない。
それにナナミが才能から導いた疑問もこの資料から解決できただろ」





私は黙った。




伊藤君の言っていることは正しかった。




私がこの世界に疑問点があった。