伊藤君は皆に囲まれていた。




夫は椅子に座っていた。






「大丈夫。調子が悪いなら横になったようがいいよ」



「大丈夫。ちょっと頭がクラクラしただけだから…」



「そう…」





私は夫から離れて高校時代の友達に話しかけに行った。





「エミ…」





高校時代の知り合いに話しかけた。







友達は私の方を見ると嬉しそうな顔をした。






「ナナミー、久しぶり。
十年ぶりだよね」





「うん、エミは元気だった」





「元気よ。
仕事と恋愛を楽しんでいるわ。
ナナミこそどうなのよ」




「私は夫と暮らしているわ」








「いいなー、私も頑張らないとなー。
皆、二十七歳で結婚した人としてない人とに分かれる時期じゃない」









「エミにだって、すぐに出会えるよ」









「ダメよ。なかなか気にいる人がいないの。
今付き合っている彼氏だって、付き合うのは楽しいけど…結婚を考えると…ちょっとねー」









































私は十年ぶりに再会した友人達と思い出話、最近の出来事等を話した。











皆、高校時代とは違い、身だしなみには気を使っていた。










皆、ドレスやスーツを着て、化粧やワックスを付けていた。







皆、大人に成長していた。













そんなことを話しながら考えていた時…














会場の扉が開いた。








誰だろうと思い、友達達と一緒に扉の方を見た時、この会場に来るような格好ではない男が入ってきた。









男はリュックを背負い、マントを着ていた。