「私は『キャンセラー』なんて装置、聞いたことがありません」









「これは最新技術の装置です。
その内、世の中に流れます。
これは試作品のようなものです」










「わかりました」










お母さんは『キャンセラー』を森下先生から受け取り、私に持たせた。











「でも、どうしてナナミちゃんに渡そうと決めたんですか」










「お母様、ナナミさんは優秀な子です。
ナナミさんは生きなければならない子です」









「どうしてです…」












「ナナミさんの能力は『活性』ですが、同じ能力者とは一部特性が異なる点があります。
そのため、私は検査でナナミさんの能力を調べました。
その結果、『活性』の異なる点を見つけました」











「…」













「『活性』能力者の特徴はその想像力です。
自分の知る情報内で頭に浮かぶ想像域がほかの人よりも異常なまでに発達している。
ようするに妄想が他の人よりも異常だというわけです。
そのため、能力者の持つ情報から妄想が出るわけです。
先程も話したように能力者は無能者です。
つまり、この現象が日常内では無意識に行われる。
そのため、精神的にも不安定となる場合もあります」











「ナナミちゃんもあるんですか…」















「あります。
ただし、ナナミさんはほかの『活性』能力者とは違います。
想像対象を選べる点です。
私は初診の時にいくつかテストをさせてもらいました。
そこで『活性』だとは気付きましたが、違う点もありました」