私は何度も同じような話を何か所もの病院で聞いていたため、驚かなかった。













「先生…ナナミちゃんの…ナナミちゃんの治療方法はないでしょうか…」









泣きながらお母さんは先生に質問した。











「今のところはありません。
しかし、世界にはこの『能力病』の治療方法を研究している人達がいます。
彼らがナナミさんの生きているまでに発見すれば、進行を抑えられます」

















お母さんは声を出して泣いた。










「お母様、この世界は『才能』を基準にされています。
そのため、研究者はこの『能力病』の研究進行が遅れているのも事実です。
それでも、あきらめずに…少ない資金の中で研究をしている人達がいます。
彼らが発見する治療方法を待ちましょう。
きっとナナミさんが生きているまでに発見されます。
私を信じてください」












「…ありがとうございます」
















私はお母さんの顔を見ないようにした。















私にはどうすることもできない。













「そこでお母様に相談があります」














お母さんは顔をあげた。














「まだ、効果は証明されていませんが、この病気を防ぐ方法が一つあります」