「どうした。辻本」


「今回の実技の目的は何だったの」




単刀直入に質問した。




「どうして知りたいんだ」


「山本のことだから大体の予想はしているけども、一応聞いてみたいの」




山本君は少し考えだした。


何を考えているのかはわからない。


ただ、山本君にとっては重要なことなのだろう。




「わかった。だけど、ここで話していいのか」


「いいわよ」


「そうかぃ」




山本君は持っていた書類の一部を丸めた。


そして、皆が見えるように机に置いた。




「ここに置いてある紙が食べられる物なのか、それとも食べれない物なのか、どっちだと思う」


「食べれない物よ」




アカネは即答した。




「そうだよな。
普通食べれないものだと思う。
では、なんで食べれないと思うんだ」


「当り前のことを聞かないで」


「日ごろから見なれた物を見て、人の視界は無意識に選択をする。
食べられる物なのか、あるいは食べれない物なのか。
できるのか、それともできないのか」


「それが何の意味があるの」




アカネだけではない。


私も言っている意味がわからなかった。




「俺は三度現実世界へ行ったと話したよな。
三度目は俺個人で行くと決めたから行ったんだ。
目的は一つ。
ここにいる奴らの食糧をあらかじめ確保するためだ。
だが、そこで問題が生じた」


「…何」


「ここに集まっている者達は様々な分野の権威だろ。
理論とか学術的だとかが強い思考にあるわけだ」


「………」


「専門でもない奴に『食べれる』と言われて食べるのか。
ここにいる奴らは」