「これはアカネが企画したんだよね………」




他の人達に聞こえない声で話した。




「………提案してきたのは山本よ」




不思議だった。


アカネが山本君の提案を受け入れたことに。




「何があったの。アカネらしくない」




アカネは答えたくないのか、話さない。




「アカネ…」




もう一度尋ねた。


理由があるのなら、話してほしかった。


もしかしたら、山本君から弱みを握られたのかと思ったからだ。




「大丈夫。
ナナミが考えているようなことはないから…」




アカネの言葉に『不安』感を感じた。




この三日間まではこんな間隔は無かった。


まるでここからが本番のように感じた。




「わかった」




私はこれ以上話してはいけないと感じたため、この話題を止めた。










係員の誘導で着いた場所には6台のバスが停まっていた。


係員は「乗ってください」の一言しか言わない。


選抜部隊の何人かが尋ねている姿を目撃した。


私たちは列の最後尾にいたので、その光景を目撃できた。


係員と尋ねている人の会話をわずかに聞いたところ、




「部屋に置いている荷物を持っていきたい」


「仲間に連絡を取りたい」


と話していた。




係員は「申し訳ありませんが、それは許可できません」しか話さない。




私達がバスの席に座り、しばらくすると先程尋ねていた人達が入ってきた。


顔を見ると『不満』と顔に書いてあるぐらいの表情だった。






プシュー………






バスのドアが閉まった。


係員は何も話さない。


バスはゆっくりと私達の知らない目的地へ向かって行った。