私は『W』施設内の担当医師の診察を受けた。


アカネのお父さんの演説から、今まで以上にシミュレーションをし続けたために能力病が悪化してしまった。


下半身が麻痺してしまい、車イスなしでは生活ができない。


担当の医師からこれ以上の能力使用を禁止された。


私は拒否した。


担当医師は病気の進行から、このまま能力を使い続ければ半年後には亡くなると説明された。


伊藤君は『C』最後の仕事と話した。


私もこの仕事を最後にする。


十年続いた『C』の活動に終止符を打つ。


これからは世界を動かすのではなく、夫とアキトと過ごす日々を生きがいにしたい。










『Xファイル』の情報公開から、人々を戸惑わせることになった。


しかし、研究者達には貴重な情報としてとらえられた。


今まで解明できなかった現象や病気を解明することができた。


その一つが能力病だ。


能力病を研究している研究者が、ある仮説を述べた。


それは能力者の『劣化』とされた。


今までの発表では能力使用時に粒子が体内に入るため、身体内部に異物が含まれる。


それが細胞と合わさることで、細胞が変化をする。


それが蓄積されることで、身体の内部・外部に影響を及ぼす。


それの例が手足のしびれや心臓に起きているとされていた。


そこまで仮説ができているのに治療薬が出来なかったのにわけがあった。


一度細胞と合わさったものをはがすことや『粒子分解』能力者と協力した手術でも粒子を破壊することが不可能である点であった。


新しい仮説である『劣化』はこの仮想世界にバーチャルソフトを利用している点から導いたものだった。


人類が解明した空気中に存在する粒子だけではなく、建物や資源等を構築する原子も粒子の種類に属しているなら、人類も粒子でできていることになる。


人間を構築する粒子に異粒子を取り込むことで、人間細胞の一部となる。


つまり、細胞と粒子が合わさることで能力病が発生されることはない。