私は資料を読み終え、しばらく目を瞑った。




「以前話した通り、今後は一般人を現実世界へ帰すことを軸にする。
ナナミに観てほしい、一般人を現実世界へ送るには何をしていけばいいかを教えてくれ」




私は頷き、首飾りを外した。




<条件>
・資料
・各国の経済状況





私は結果を導いた。


首飾りを付けた。




「どうだ」


「資料から現実世界があることは証明された。
仮想世界から人を現実世界へ送ることも可能。
管理者が一度行けば、最初の超越者からのアクセスだけで、後は管理者が現実世界に残ることで一つのインフラとなる。
一般人の目線からこの世界をとらえた時、『ヘブン』と変わらない感覚で生活ができる」


「つまり、現実世界から仮想世界へ戻しても問題はないってことだな」


「ただし、問題がある」




伊藤君はまっすぐ私の目を見た。




「問題はわかっている。『人間の心』だろ」


「そう。このインフラは二つの道がある。
一つは現実世界も仮想世界の一部と考え、人々が『選択の石』からアクセスする。
もう一つは一度現実世界に送った人を仮想世界に戻さないこと」


「ナナミはどちらがいい」