しばらく、アカネは電話の会話を聞いていた。


その後、話し始めた。




「ヨシト、その『キャンセル』って装置はすぐに起動するの」


「…」


「わかった。
その装置の使用を許可するわ」




アカネは電話を切った。


その後、アカネのお父さんに話しかけた。




「お父さん、ヨシトが担当している部署の新製品を使うわ」


「それはこの状況を打破できるのか」


「製品は完成しているけど、粒子の吸収率96.8%。
でも、それ以外にこの状況を解決する策がない」




ヨシトさんとの連絡後、アカネ達の視線は町にある高いビルを見ていた。


最後の望みだと考えられた。


『W』の部下もアカネ達と同じ方向に視線を向けた。






突然、空気の流れが変わった。


半球体の一部がビルの屋上に吸い込まれていく。


勢いで徐々に半球体が消えて行った。




「間にあわない。この吸収速度では…」