「アカネ、まずいぞ。
あんなものを防ぐことは今の我々では不可能だ」


「お父さん、今から町の人を避難させれば…」


「間に合わない。
落下スピードから見て、あと数分で地上に落下するだろう」




『W』の皆が空を見ていた。


彼らは対策を考えているのだろう。


でも、誰も提案が出ない。


時間だけが過ぎて行った。


私は倒れているアイドを見た。


悲しそうな表情をしていた。


私はアイドの方へ向かった。


アカネは私のことに気付いていたが、今現在の問題を解決することに費やしていた。


私はアイドの目の前に立った。




「アイド…」




アイドは答えない。




「あなたは人の死を大切にしている。
本当はこんなことをしたくない。そうでしょ」


アイドは私の方を見た。


私はアイドと目を合わせたくなかった。


でも、今のアイドの姿を見ているとそんな気持ちにはなれなかった。




「度々空を見上げていたのも、確認していたんでしょ。
制御しているかどうか」


「あれは俺が逃げる手段の一つとして造っておいたものだ。
脅しのつもりで用意したが、役に立つこともあるな」