「柚希は、
笑うの好きそうじゃ
ないなぁ~」

少し大きめの声で
言った琳の顔は、
何となく切なかった。

「どうして?」
普通にそう返した。

「何となくだよ、
そんな感じがしただけ♪」

そんな琳が
遠くに感じた。

近くにいるのに。
遠い存在って感じた。

「外に遊び行こうか、
琳と僕で。」

少し暗かった琳は
コレをきいて目を輝かせて

「行く!行く!
でも先生…
もうどうでも良いや!」

うん。

どうでもは
良くないと思うよ。

遊園地かなぁ?
動物園かなぁ?

ウキウキしながら
口ずさむ琳は可愛かった。

その日の夕方に
琳の担当医に許可を
取りに行った。

でも、
僕は後悔した。

きいたら
いけなかったんだ。

ううん、
ききたくなかった。

「雨宮さんの
診察の結果はどうだった?」

「はい、多分もう…」

僕にはその後
何て言うか予想がついた。

「長くはないでしょう。」

…やっぱり。

「どれくらい?」

「長くて2ヶ月
短くて今月…ですかね」

最後まで
ききたかった訳じゃない。

ただ、足が
動いてくれなかった。

走り出す頃には
僕の目から涙が流れた。

ひたすら走って
着いたのは…

【雨宮琳】
そう書かれた病室。

勢いよくドアを
開け飛び込んで、

僕は琳を抱きしめた。

「柚希?どうしたの?」

そんな琳を無視して。

「嫌だ、
琳と離れるのはイヤだ!」

そう叫んだ。