「よし!覚えた、
濱口柚希くんね!」

僕の隣で大きな声を
あげているのが、
さっきの病人。

30分ぐらいたったら
復活したのか…

異常に元気になった。

「柚希くんはさぁ…
何で、助けてくれたの?」

追突にそうきかれて
何て答えれば良いか迷った。

僕は心配症だから?

でも、
本当に心配はした。

だから、

「心配だったから」

そう答えた。

たった一言
そう言っただけ。

なのに

「柚希くんは
優しいんだね…。」

どうしてそんなに
悲しい顔をするんだろう。

どうしてそんなに
泣きそうな顔になってるの。

どうしてそんな顔で
笑おうとするんだ。

僕の頭の中は、
琳への疑問で
いっぱいいっぱいだった。

…多分、
このときから

僕は琳に
惹かれていたんだろう。

琳の不思議な魅力に…



  *  *  *  *