高校に入って
僕は新たな出逢いをした。

雨宮琳これが
彼女の名前だ。

琳は身体が弱くて
4階の教室まで上がるのも
大変らしく…

知らずに
それを、僕が
手伝ったのが始まり。

「大丈夫?キツい?」

何気なく話しかけた。

自分で言うけど、
結構心配症な僕。

だから、声をかけた。

そのときの琳は肩で
“はぁ…はぁ…”
と呼吸をしていて、

顔は青白くて
如何にも病人だった。

「大丈夫、
いつものことだから…」

と消えるような
小さな声で呟いた。

琳はキツい筈なのに…

笑顔を見せて、
「声かけてくれてありがとう」

そう言ってまた階段を上り始める。

僕はそれを見て、

「ほら、乗って」

かがんで背中に
乗るように言った。

少しして、

「………ありがとう。」

笑が混じった
お礼の声がきこえて、

何が可笑しいのか
考えたけど結局答えは
出てこなかった。

琳は多分、教室に
向かってたんだろうけど…

病人だから、

「保健室で良いよね?」

と返事を待たずに
保健室の方へ歩き出した。



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