でも烏猫の主人は嫌だった。

「いや、本当にいいのだよ。私は疲れてしまってね。」

お辞儀をして帰ろうとすると主人の前から青い目がこっちを見た。

「お帰りですか?」

なかなかきれいな日本語で外人は尋ねた。

「はい。素敵な宴をどうも有り難う。」

「ではお土産をお持ちください。我々の自慢の品ばかりですから。」

しかし、烏猫の主人にはそんな誘いもいっぱいいっぱいで嬉しくなかった。もう此処にいるのが辛かった。

「もう、けっこうです。十分よくしていただきましたから。失礼。」