それと同時に傷が消えていくようなあったかい感じが顔全体を覆う。

これで彼女が助か…


−−−しかし突然…家の中から悲鳴に近い叫び声が聞こえた。

彼女の叫び声だ…。

「…ついっ。…あっつい!顔…が…っ!!顔が…!!!」

彼女の所にはまだ火が届いていない。
にも関わらず顔からは…火。

今の悲鳴を聞いて、一瞬だけ訳がわからなくなった。
絶望とともに願いは消える。
火も消え、彼女は再びぐったりした。

−−−顔…?

顔が熱いって…。

少しするとおだはすぐに予想がついた。

おだが死ぬかわりに…
彼女に魔法が移るのだと。

血の気が引いていった。

−−−僕は…彼女を助けられない…?

助けられない事は愚か、おだより先に逝くなんて考えられなかった。

だがおだは彼女に魔法が移るのだけは嫌だった。

そして気付いてしまった。
大切だった。
出来るならずっと
傍に居たかった。

「…っ!」

おだは再び…走りだした。