おだは走った。
1本の足と尾だけではぬかるんだ道に足をとられる。

何度も転んだが、居場所は分かっている。

今日は歌の教室の日だ。

おだは教室に向かってひたすら走った。

−−−お願い。
ただの勘違いだったと笑わせて…
遅くなってごめんって笑ってよ…。



しかし、そんな願いは町の男の一言で崩れ去る。

「火事だ!山のとこのでだ。急げ。」

血の気が引く思いと同時に
ひどく胸が痛んだ。

山のとこの、でみんなわかる。

あの…教室だ。

−−−無事でいて…。