おだが少女に出逢ってから、一年が経とうとしていた。

最初の主人が亡くなってから200回以上訪れたこの季節。

慣れるものだと思っていたのになかなか慣れなくて困っていた。


皮肉だ。
大好きな主人が亡くなったのも
大切な少女に出逢ったのも
同じ季節なんて。


おだはそう考えずにはいられなかった。

とめどなく涙が溢れてきた。

最初の主人が亡くなって時でさえ泣かなかったのに…

本当に僕は幸せほうけているのかもしれない。


「おだっ!どうしたの…涙なんか流して…」

少女が心配そうに顔を覗きこんできてもおだはただ首を振ることしか出来ない。

おだは涙をこらえた。

すると少女は優しく微笑むと

「変なの。涙を流すのなんて人間だけだと思ってたよ。
泣いていいよ?泣くとスッキリするんから。」

と言って、頭をぽんと撫でるとおだの隣に静かにしゃがんだ。
その後も涙が止まらなかった。



−−−思えばこれは、予兆だったのかもしれない…。