200年前、とても綺麗な烏猫(黒猫)がいた。

 町の者には気に入られ、優しい主人と住んでいた。

 今日もゆっくり過ぎる時の流れに身をまかせ、平凡な日を過ごしているようだった。

 烏猫の住む町は決して豊かではなかったがもう歳で、余生を愉しむだけの烏猫の主人にとっては静かで調度よかった。

「おだ、魚をやろう。こっちへおいで」

 烏猫は頭がよかった。

 おだという名前に反応して嬉しそうに駆けていった。

 烏猫と優しい主人はお互いの事をよぉく理解していた。

 烏猫は主人をぎぃと引っ掻いた事があったし、主人もご飯をやるのを忘れた事があった。

 なのにお互いが大好きというのはそういう事だった。