烏猫が目を覚ましてから4日たったある日だった。
烏猫の主人が倒れた。
近所の人が来て医者を呼んでくれたが原因がわからないらしい。
医者はもうダメだというように、首を横に振った。
「おだ、おだはいるか?」
烏猫は弱々しい声を聞いて主人の死を覚悟した。
「おだ、ごめんな…もう少し、生きたかったが…もう時間切れのようだ…。」
主人は優しく目を薄めて言った。
ドクン…
−−−おかしい…
主人が死んでしまいそうだというのに…
何故か烏猫は「生きたかった」という言葉に反応した。
そしてその小さな心臓がバクバクと音を立て始めた。
主人は、「生きたい」のだ−−−
大切な主人が…「生きたい」。
考えれば考えるほど、火傷の跡が疼く−−−
こういう事だったのか…
烏猫は決心した。