今日も昨日と変わらない、登校途中。


変わったのは、関係だけ。



『………な、なぁ、彰哉…』



いつもは強気なくせに、珍しく弱々しい声で俺の名前を呼んだ女―――七鴇 藍依(ななとき あいえ)。


俺の幼馴染みかつ恋人………ただし、つい昨日なったばかりだ。



「なに、藍依」



別に冷たく言ってるわけじゃない。


これが普段通りなだけだ。



『……月菜に、なんて言えば良いんだ…?』



倉眞 月菜(くらま るな)―――藍依にとって、唯一の親友だ。


藍依とは正反対の、誰とでも仲良くなれる明るい性格の持ち主で、絡みづらいとよく言われる俺とも親しい。



「なんで。普通に“付き合うことになりました”で良いだろ」


『っい、いや…!だっていきなり付き合ったりしたら月菜が遠慮してわたしと疎遠になってしまったりしないか心配で…!』



…それはないだろ。


相手は気配りのできる倉眞さんだし、それに…