率直な疑問に彼はすぐに答えてくれた。


「好きだから」


心臓が止まりそうになった。そのくらいの衝撃を受けたのは事実だけど。

でも素直に喜べなくて、心の中が複雑に入り組んでいったの。


「好きだよミト」

「………」


わたしの髪を撫でながら彼が繰り返した。
だけどわたしは思いだしていたの。それは遠山君から聞いた話。


『好きだとか付きあおうとか軽はずみに言うけど、全部ウソ。
その場凌ぎのデタラメ。遊んだらポイ捨てする、そういう男』

そして昨夜見たホテルでの状況さえも。


わたしは誰を信じるの?

好きなら大好きなら、カイ君のことを信じることができたらいいのに。それができないわたしの気持ちこそ、偽りなのかな?