[side Kai]




やって来たのは“J”。

いい加減でテキトー人間にだってムシャクシャする日はある。
心が乱れてやるせない夜だってある。

そんなときには、この喧噪が一番なんだ。

だけど今日は踊んない。だから一階をスルーする。

ピカピカの階段を上がって座り心地の悪いスツールに腰をかけた。


「カァイ~!」


間もなく声をかけてきた女。

顔はなんとなく見覚えがあるけど、当然名前なんて知らない。