[side Mito]




苦しそうな息づかいと掠れた声。


“ 着信 成瀬 カイ ”

その表示を確認したとき、夢かと思うくらい驚いた。

だけど電話から流れてくるその声色は、いつもの彼とは違っていたの。


急いで階段を降りて玄関で靴を履くわたしに、お母さんが声をかけた。


「ミト、こんな時間にどこへ行くの?」