チュって音がして、そっと瞼を開いてみる。

わたしのおでこから唇を離し、ゆっくりと離れていくカイ君の顔が笑ってる。


「よく言えました」


でもからかわれてるわけじゃない。
優しい、わたしの大好きな彼の笑顔。

頭の中がぼーっとして、おでこはいつまでも熱くて。打ち明ける交換条件に出したことさえ、すっかり忘れていた。

訊きたかったのは、カイ君の病気のことだったんだけど。


走る車の中で手のひらを見つめる。

しおれてしまったアップルミントの葉が1枚。

ミントの香りを感じるたびにわたしは、今日の出来事をきっと思いだすんだ。

そして胸の奥にあるハートは、相変わらず壊れるくらいの激しい鼓動を高鳴らせていた。