シトシトと降る雨音に混ざって、ガタンゴトンって聞こえてきた音。


「電車きたみたいだね。行こっか」


促されるようにして駅のほうへ歩きだす。

駅前に停めてあるカイ君の車は、黒くて小さくてハンドルが左についていた。
運転席のドアを開ける彼。

―― もうちょっと話がしたかった……。

そう思って胸がキュっと苦しくなる。

“切ない”ってこんな気持ち?

恋をすると、いろんなことを知る。初めての思い。


「傘に入れてくれてありがとね」

「いえ、どういたしまして」


ペコってして顔を上げたら、車に乗り込もうとしていたはずの彼が近くにいて驚いた。