私は、顔をあげて、みる。 すると、そこには忘れようとしていた、テルがいた。 「ほんもの?」 「本物!」 テルはそう言った。 確かに、そう言った。 声も、顔も、体つきも、言葉の掛け方も……。 テルの、素敵な笑顔も……。 一年前の、クリスマスの日までと変わっていなかった。 ただ一つ変わったのは、背。 私と同じ位だった背が、私の顔一つ分位、高くなっていた。