私がゼリーを食べ終えたのを見計らって、先生が口を開いた。
「ところで今何時だ?」
先生は寝返りをうって、枕元のデジタル式の目覚まし時計に目をやると、ギョッと目を見開いた。
「な゙……もう9時になるじゃねーか!どうするんだお前!」
「へ?どうするって?」
「バカ!連絡だ連絡!家に連絡はしたのか!?」
「連絡……?」
先生はベッドから勢い良く起き上がると、キョトンとしている私を無視して壁にかかっていた薄手のパーカーを羽織った。
「先生!?何してるの!?」
「あぁ!?お前のこと家まで送るんだろーが!お前もさっさと帰り支度しろ!」
「だって先生具合……」
「んなもんとっくに治ってんだよ!」
「そんな病人丸出しの顔色で言われても説得力ないんですけど!いいです1人で帰れますからっ、先生は寝てて……」
「バカ!ガキが1人でこんな時間にウロウロしてたら変態の思うツボだっつーの!裸にされて写真撮られて売り飛ばされんぞ!それが嫌ならさっさと家に連絡しろ!仕方ねーから友達と遊んでたとでも言え!」
先生は一方的に捲し立てると、机の上から車のキーを拾い上げた。
そして、根っこが生えたように床に座り込んだまま動かない私を見て、先生は目を吊り上げた。
「いい加減にしろ!」
先生に腕を掴まれた。大きな手でグイッと引き上げられた私の体は、情けないほど簡単に持ち上がる。

