ならばお好きにするがいい。

 
先生の容態が気になって、こっそり寝室のドアを開いた。


そっとベッドを覗き込むと、さっきと比べるとだいぶ顔色もよくなった先生が、安らかな寝息を立てていた。


「よかった……」


少しおでこに滲んでいる汗をタオルで拭いてあげてから、私はぺたりとベッドの横の硬いフローリングの上に座り込んだ。


ベッドに寄りかかって、先生の寝顔を観察する。


初めてみる、先生の寝顔……。


「睫毛長い……」


その安らかな寝顔からは、いつも目をギラつかせて怒鳴り散らしている、鬼と呼ばれている小田切先生は消えていた。いつもは狼というか、狩猟犬というか……例えるならそんな感じなんだけど、今、ベッドの上で寝息を立てている先生は、完全に子猫みたい。普段のツンケンぶりを忘れさせるくらいに、その寝顔はあどけなくて、本人に言ったら絶対怒られるけど、すごく可愛い。


「結婚したら毎日みれるのかな、この寝顔」


自分で呟いて、自分で照れる。


……いつになるんだろ、先生と結婚するの。


うーん……まだまだ時間かかりそうだなぁ……。


じゃあ、今のうちにいっぱい見ておこーっと。