バタン、玄関のドアが閉まる音の後、少し遅れて訪れた静寂。
しん、と静まり返った部屋にぽつんと座っていたら、徐々に今自分の置かれている状況への実感が湧いてきた。
私、今、小田切先生の家にいるんだ……。
ずっと憧れてた。どんな家に住んでるのかなって、いつか行ってみたいなって、ずっとずっと憧れてた小田切先生の部屋。
その夢がこんなに早く実現するなんて……。
改めてぐるりと部屋を見渡してみる。
外装は白くて綺麗な10階建てのマンション。ここはその4階。外装からのイメージ通り、内装は白を基調としていて清潔感があった。部屋の中が綺麗に掃除されていることと、あまり物がないこともそう感じさせる要因かもしれない。
大きな液晶テレビとその横に並んだ本棚、ガラステーブル、白のソファー、目立つ家具と言ったらそれくらい。カーテンはブラインドだし、会社の応接室みたい。

