俺は、ジャージのまんま外に出て駅まで走った。



タクシーを拾って、行き先を告げると





―ピロリロリン♪―ピロリロリン―♪


携帯が鳴った。




「もしもし。」



「優??お母さん今日、帰れないわ。お父さんも、今日学会で帰れそうにないって。一人で大丈夫よね??あなたは、しっかりしてるから。」




母さん…



「あぁ、大丈夫。じゃあな。」




またかよ…。




俺の両親は、俺が小さいときから帰って来ないことが多かった。



そのたびに「忙しいんだからしょうがない」って我慢ばかりしてきた。



そのせいか、俺は反抗期なく育ってしまった。




「お客さん?着きましたよ。」




「あっ、すいません。」




俺は、代金を払って病院に入った。




病院の空気…ニオイは嫌いだ。



なにか、いやなことが起こりそうで…