12月24日。

クリスマスイヴ。


……に、なったばかりの深夜1時。


聖なる夜を祝うには、ちょっとだけ気が早すぎる。


でも、

来るべき今夜に向けて、心と身体を奮わせる。

たぶんきっと、そんな夜。


なのに……





「……足りない。」



1人暮らしのアパート。

部屋の中心に位置するコタツを占領して、


「ちーちゃん!おかわりっ。」


俺に空き缶を突き出す女。


「もっと強いやつ、ないの?こんなんじゃジュースだよ。飲んだ気しないよ。」


えらそうに文句を垂れてるわりには、顔は赤くて。

目は虚ろで焦点は定まっていないし、呂律は回っていないし……

完全に出来上がっている。


「来るのわかってるんだからさぁ、ちゃんと用意しといてよねっ」


……知るかよ。

アポもなしに、突然チャイムを鳴らしたくせに。

寝ようとしていたところを無理やり叩き起こしたくせに。


「あーっ、なんかお腹もすいてきちゃったなぁ。……なんか作って?」



……この酔っぱらいめ。