「あなた彼氏いるんでしょっ」 マチちゃんが噛みつきそうな勢いで刺々しく睨む。 「ホラ、私ってぇ、ずっと一緒にいないと駄目なタイプだしー、主任はどうですかぁ?」 人差し指でグロスで艶やかに輝く口元に触れながらあたしより頭ひとつ分小さな小倉さんは上目遣いに見つめる。マチちゃんは「無視かよ」と舌打ちしている。 「…余計な事言ってないで仕事しなさい」 本当、仕事しよう。 「カラダが求めちゃうんですよねー」 構わず、艶やかに笑った小倉さんの響きの卑猥さに頭を痛めたのは事実。