─────大通りのビルの一角にオフィスを構えるランジェリー会社。恋愛に寛容過ぎる女社長の用件を終えて、短い通路にカツカツとヒールの音が響く。 まとめられただけの黒髪。縁のないレンズはもう何年も愛用していて、眼鏡会社に表彰されてもいいくらいだ。 「紗織さーん、社長何でしたー?」 後輩のマチちゃんは今日も元気。さっきまで顧客と伝票の管理を延々と続けてげっそりしていた面影は回復しつつある。若さって羨ましいわね。