抱き寄せられたまま、あたしは固まってしまったみたいに動けない。恋愛経験値が低い、低すぎる。いや、むしろ、こんな無差別級に色気のある男を前にしたらこれが当たり前なんじゃないか、って思う位。
全身が、熱い。
またあたし、一人余裕がなくて、
「紗織」
もう、名前で呼ばないで、って言ってるのに。あたしは飛びそうな意識をこらえるように、関谷をきつく見つめた。端から見れば、威嚇してるんじゃないかと思える程に。
「……それ煽るだけだから、阿呆」
あおる?何を?
答えを探して眉を寄せれば、それよりも関谷が近付いて
「…そのまま黙ってろ」
囁くような甘い吐息と一緒に、
強引に、
不意打ちで、
唇を塞いだ。

