「なんで?」
なんで?、確かにそう象った関谷の薄い口元。
「なんで、って」
「…おまえ、時間ないのか?」
「違うけど」
「まさか、また寝る時間だとか言う気じゃねーだろ?」
無造作な髪をクシャリと掻いて、関谷は悪戯に笑う。それから、その大きな手が、何事もなかったかのようにあたしを引き寄せた。
「がっ」
がっ?自分の口から出た意味不明な単語に頭が痛い。
てゆうか、近い。
ああ、もう、心臓が、煩い。
「帰るなよ」
「え、」
「つーか帰さないけど」
流し目だけで、表情を変えない関谷。
殺されそうな位の、色気。逆らえない、甘い声。

