続・絶対温度-私の定義-


それにしても、

「なんだ?」

当たり前のように横に並んで、キッチンに立つ関谷。


戸惑うのは無理ない。


「手伝ってくれるの?」

いや、それともこの場合、あたしが手伝っているのか。


「二人でやった方が早いだろ」


なんか、意外。


「じゃああんたが玉ねぎ切ってよ、目が痛いんだから」

「無理」

「なんで」

「おまえ眼鏡で防御してんじゃん」


ガキか。

「安心しろ。俺んちの包丁は切れ味やばい」


関谷は口元だけクイとあげて、自慢気に笑う。


ああ、もう、そんな顔が好きだったりするから、あたしはザワザワする胸を必死で沈める。



無邪気なクセにどこか色気を含んだ関谷独特の雰囲気。もう、駄目だ。集中できない。
この際あっちに行ってろ、とか思いつつ、二人で並んでこうしているのが嫌じゃないあたしは、玉ねぎの粉末と格闘しながら少し笑った。