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「高見ちゃん、コレどう思う??」

相変わらず、甘い色気を振り撒く社長。年齢不詳なのには益々磨きがかかっている。

「どうって、いいますと?」


あたしは縁のないレンズをクイと上げて、その『どう』の物体を眺める。

「いや、だからー、どうかしらね?」


真っ赤なルージュが綺麗な曲線に曲がって、社長は可愛らしく首を傾げてみせた。


「…良いんじゃないでしょうか。」


どうでも、とつい頭につけてしまいそうになるのをなんとか堪えた。


「そうかしら?そーよねー」


誰に意見を聞かずとも、社長の趣味であろう『それ』に対してあたしが言えるのは、ただ肯定のセリフだけだ。社長はうんうんと納得して、それを片付けた。


『なに』とはっきり表現するのはやめておこうと思う。何故なら、それはこんな真っ昼間から堂々と見せるものじゃないし、まして、社長の超プライベートな趣味の範囲に入るから。とにかく、あたしは見せられた刺激物がちゃんとあるべき形に保管されて、ホッとしたというだけ。